麺の原材料は小麦粉とかんすい、水と塩、これだけである。それだけに原料の選定にはこだわりぬいてきた。製麺の過程においても同じ。どう扱えば狙いどおりの麺に仕上げることができるのか。長年の研究と経験の結晶がここにある。




元々は粉末のかんすいをあらかじめ水に溶いておく

上澄みのきれいな
かんすいだけを使う


かんすいとは、昔中国奥地かん湖の水を使用したところ強いコシが出て延ばすのに便利だったことから麺づくりに欠かせなくなったという。三日月軒東中の口店では、最近注目のモンゴル産天然かんすいを使用。前日に水に溶いて一晩寝かせ上澄みのきれいになった部分だけをすくっている。よく味が馴染むようにこの段階で塩も投入。塩は、もちろん天然の自然塩。舌を刺すような辛さがなく、まろやかさが出るのだ。



2種類の小麦粉と塩、水、かんすいが麺の材料だ

高速撹拌機


小麦粉は北海道産の華鏡を中心に調合。小麦粉の研究を始めた頃には、パスタ用やパン焼きの小麦を実験的に使ったこともあるという。小麦粉、かんすい、水、天然塩を高速撹拌機で混ぜて塊に。加水率はその日の湿度や温度によって毎日変えているが、それは専ら経験と勘による。麺のコシを出すのか、旨味にこだわるのか、この比率で決まるよいうから、それぞれのお店の麺のオリジナリティはこの段階で発揮され始めるのだ。


25kgぐらいある塊を手で整えるのだから相当の力がいる


高速撹拌機によって小麦粉をはじめとする原料は、バラもしくはゴロと呼ばれる塊になる。鉄パイプを使う前にまずこの塊を手で充分にこねながら延ばす。加水率は高く45パーセント以上、冬季間は50パーセントにも達するという。これを多加水麺と呼び、とにかく柔らかで滑らかな中にもモチモチ、シコシコした食感が残る麺になるのだ。



トントンとリズムよく延ばしていく



鉄パイプの端を専用の梁に引っ掛け、テコの原理を応用し少しずつ鉄パイプを回転させながら生地を延ばしていく。生地が同じ厚さになるようにするのだから相当の熟練の技だ。左右に延ばしたら3つ折りにして90度回転させ、これを3回繰り返す。縦横交互に延ばすことによって、生地の表面には目には見えない凸凹が生まれるのだが、スープがよく絡む麺の秘密がここにある。機械打ちでは出来ない、棹麺(カムミェン)ならではの大きな特徴だ。


麺帯の状態


圧延する

半日寝かせる


生地を延ばす作業を圧延という。4回目の圧延の前に生地同士がくっつかないようにでんぷん粉を振り、畳み終わった生地は開いて製麺機の幅に合わせて包丁で細長く切る。そして製麺機によって軽い圧延をかけながら綿棒に巻きとり、巨大バームクーヘンのようなロールの出来上がり。これをを麺帯と呼ぶ。季節によって多少時間は違うが、麺帯は約6時間ぐらい寝かせるのが三日月軒東中の口店の流儀。小麦粉、水、かんすい、塩の原材料をお互いに馴染ませるための熟成の時間だ。


切り歯20晩で
中細麺に


早朝に打った麺帯を半日寝かせておくと、若干黄色がかったラーメンらしい色になってくる。これをもう一度製麺機で圧延をかけて実際に使う麺の厚さにする。そしていよいよ麺帯を麺線に。三日月軒東中の口店では、切り歯20番を使用。中細の若干縮れ麺だ。縮れ具合は製麺機で調整している。これもやはりスープとの絡みを考えてのこと。



次々と出てくる麺を手際よく玉にまとめていく


麺の量は1人前220g。計量計は一応置いてあるがほとんど使う必要がない程その分量は身体の感覚に染み付いている。長さは約24cm。ちょうどひと口ですすりきれるくらい。製麺機から出て来る麺を次から次へと捌いていく手際の良さが見事だ。


木箱の中で
熟成を待つ麺


出来上がった麺は木箱に収めて冷蔵庫に入れ、3日間ゆっくり熟成させる。この間に微妙な水分調整も行われ、実際に調理する段階でさらに旨味が増してまろやかな最高の仕上がりになるという寸法だ。麺づくりはつくづく奥が深い!
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